こんにちは。はじめまして。文芸部です。
今回WEBマガジンの方で取り上げていただける
ということで
皆で何をするか考えて載せる用の物語を作ってみました。
“文芸部”の名に負けないように
何か文章や絵を書けたらいいなと思い
一つのテーマを皆で共有して
それぞれの思うままにあらすじを書いてもらいました。
作成時間約8分。文庫本の裏表紙に書いてあるような短い文量で
タイトルに沿うようなものを書き上げる。
一見簡単なようにも思えますが
やってみると結構難しかったです。
いろいろ書いてもらった中から抜粋させてもらい、
今回紹介したいのは全部で四つ。
【ひとまず一発殴らせろ】
というお題で書いた物語になります。
1人目の作品
【ひとまず一発殴らせろ 水口悠綺】
あの日、ヤツは自ら命を絶った。
遺言も残さずに、ただ俺から借りた
500円を返していないという、
それだけの事実を置きざりに
最初からいなかったかのように消え去った。
そんなヤツから送られてきていた3日前のメッセージ。
弱みを見せなかったヤツの最後の言葉は
「助けてくれ」という、
その一言だけだった。俺は、何かを忘れている…?
悪友の死の謎を追うサスペンスミステリー。
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2人目の作品
【ひとまず一発殴らせろ 井手柊】
突然ですが、彼氏にデートをすっぽかされました。
しかも初デート。ホントに最悪。
昨晩散々「楽しみだ」とかLINEしてきたくせに。
あいつはいつもそうだった。付き合う前にも、
向こうから食事に誘ったのに遅刻してくる。
理由を聞いたら、
「川で溺れてる子供を助けてた」とか言う。
わざわざ嘘のために体をビショ濡れにしてくる
ズルさはあいつには無い。
だからあの濡れた体も恐らく本当。
あいつはバカ正直なんだ。
良くも悪くも。
ふと目線を上げると、あいつが走ってくる。
「ごめん!おまたせ!」
何故か髪も服もボロボロだった。
ワケは知らんが、まあ予想はつく。
「ひとまず一発殴らせろ。」
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3人目の作品
【ひとまず一発殴らせろ 岡本颯希】
2034年、12月7日。
ゆきはクリスマスの予定を立てていた。
どうせ今年も恋人は、いないだろうから、
実家にケーキを買って帰ろうか。
家族の喜ぶ顔を想像しながら歩いていたゆきは、
ふと目に入った大きなクリスマスツリーから、
5年前消えた男のことを思い出す。
「そうだ、私はあいつを探さなきゃいけない。
見つけて、ぜったい一発殴ってやるんだ」
男はどこへ行ったのか。一体何があったのか?
ゆきは一人、男の行方を調べはじめる。
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4人目の作品
【ひとまず一発殴らせろ 南部咲希】
喧嘩しちゃだめ。殴っちゃだめ。売られても買っちゃだめ。
相手が手を出してきた時だけ殴り返す。
右の頬を殴られると左の頬も差し出す近所の化け物はそう言って
いつも怪我した腕を癒してくれた。
自分の方が怪我が多いくせに。殴ってきた数も桁違いなくせに。
そんな約束守ってなんかやるもんか。
なあ、そうだろう?
喧嘩はしてない正当防衛だ。
殴ってはない正当防衛だ。
売られてない買ってもいない、ただの正当防衛だ。
あんたを守るために使えない正義などこの手にいらない。
御託は結構。
ひとまず一発殴らせろ。
全員、同じタイトルで書いたのに
全く違うものが出来上がりました。
打ち合わせもなし。考えてもらったお題に沿って
それぞれが思うままに好きなよう書いてもらいました。
文芸部の中にルールというものはありません。
部誌に載せるものや人様の目に触れるものに関しては
ある程度繕ってありますが普段部活中にお話する中には
特別作らず個人で話したいことや、
やりたいことをやってもらってます。
私がまだ部員だった頃に先輩に教えてもらったように
この自由度の高い心地いい空間を
残していきたいと思います。
締める時はしっかり締めて。
緩める時はとことん緩めて。
これからものんびりとした部活動を
続けていきたいと思います。
最後に素敵な物語を書いてくれた子がいたので
最初の一部だけ紹介させてください。
続きが気になる方は
ぜひ、文芸部の方まで遊びに来てくださいね。
縋りつく為の希望
Unknown
貴族の家系で、ナシが産声を上げた。
前記のことを聞いて羨ましいと思う人も
いるかも知れないがそれは見当違い。
端的にいって地獄で、万人が想像するような
お気楽ライフはなかったのである。
親は子へ沢山の教養を押し込み、
自分が思い描く理想の後継者を育てようとする。
そんな社会の何が楽しいのかというんだ。
「自由を束縛される人生も正しい」
この生活から逃避しようとしたとき、
かくいって誰かはナシを論したが、
到底納得などできなかった。
そんなの部外者だから吐ける妄言。
この立場になれば、先の安易な発言はできまい。
就寝、食事以外の休息が許されぬ生活に、
そうとう嫌気がさして家出した。
当てなんてない。のどかな場所で
邪魔をされずに過ごせればよかったから。
けれど、逃げ込んだ田舎での暮らしは甘くなかった。
一文無しなので宿を借りれず野宿。
おまけに食べ物すらない。
この体躯は、当たり前の生活を
送ることすら許されないんだ。
そう悟り、飢えに苦しみながら天へ身を任せる。
そうやって暗闇から目覚めなくなる
その時を待ち続けた。
そんなある日、ナシは町中でもお構いなしに
毛づくろいをする人物――猫に出会う。
動物が、勝手気ままに行動する様を目にしたとき、
ある言葉が脳裏に浮かんだ。
☆文芸部
毎週二回(火曜日と木曜日)に活動中。
主に年2回の部誌作りと2期前半から始めるミニ本作りを中心に動いています。
現在3月に出す部誌とミニ本に全力投球中。