相手を想い、自分の想いを伝える
日本文化論「手紙を書こう」

スマホによるSNSやPCを使ったICTの普及により、コミュニケーションの形態は一変しました。文章は「書くもの」から「打つもの」、メディアは紙からネットへと移っています。そんな中、コミュニケーションは「想いを伝える」よりも「情報を伝える」ことが重視され、効率のよさ(速く、短く、正確に)が求められているようです。
このような時代・社会背景を踏まえて、「コミュニケーション=想いを伝える」ということを再認識し、これからのSNS時代のコミュニケ―ションに活かしてもらおう、というスクーリングが実施されました。
スクーリングの名称は『日本文化論・手紙を書こう』。Ⅱ期前半の9月23日(水)・30日(水)・10月7日(水)・21日(水)のⅢ限・Ⅳ限の合計400分にわたって開催されました。喜多志津子先生を担当教官として、30年以上にわたってコピーライター・プランナーをしてきた森壹風氏が講座を担当しました。参加した生徒は18名。生徒の中には、手紙を書いた経験がないという人も何人かいました。

スクーリング内容は、実際に「書く」ということをメインに進められました。まず、第一講では、日本における手紙の歴史や手書きによる手紙の効用などを座学で学びました。その中で、井上陽水などの70年代フォークで手紙がどのように扱われていたか、などの検証も行いました。生徒たちは、自分の親世代よりも上の世代が親しんだレトロな楽曲に新鮮な感覚を持ったようでした。
第二講では、いわゆる“拝啓・敬具”でまとめられる「定型文」について学びました。この「定型文」については、“堅苦しい”“馴染めない”などのイメージがあったようでしたが、あくまでも「ひな形」があり、それに沿って書けば意外と簡単だということを理解してもらいました。そして、文豪や歴史上の著名人の手紙を紹介して、「カタチも大切だけれど、想いを伝えることが大切」ということを伝えていきました。
第三講は、「一筆箋」を講義。より簡易で短い文章で想いを伝えるスキルを身につけました。そして、実際に一筆箋用の便せんに筆ペンを使って手紙を書き、実体験してもらいました。生徒たちは筆ペンを使って手で書くという行為が新鮮で、手紙への興味が高まったようでした。
第四講は、便せんや封筒、切手、封緘などの手紙を出す時に必要な付随情報を伝えました。さまざまなツールやスキルを使って、自分の想いを相手に伝えることができることを学びました。そして、最後にテストを実施。このスクーリングで身についたこと、これからの生活にどう活かしていけるかなどを自分なりに総括してもらいました。
受講した生徒たちからは、「手紙がとても身近なものだと気がついた」「LINEなどを出す時に今回身につけたことを活かしていきたい」「将来、社会に出た時に必ず役に立つと思う」などの感想が出ていました。中には、スクーリング期間中に祖父母や友人に手紙を書いてみた、といううれしい報告もありました。
スマホを使ってLINEでメッセージを伝えることも、便せんに筆ペンで文字を書いて送ることも、どちらも「相手を思いやり、自分の想いを伝える」というコミュニケーション行為です。この基本にあるものを分かち合った400分間になったようです。

受講生へのインタビュー


Author: koyodai-tsushin

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