日本文化を通してSDGsを学ぶ②

2020年2月5日(水)の3限から4限にわたり、
日本文化論「日本文化を通してSDGsを学ぶ」の
第二回目の授業が行われました。
今回は、前回の授業で学んだSDGsの概要に基づいて、
江戸の長屋暮らしが、いかに循環型のエコロジーな
ライフスタイルだったかをみんなで考えました。

まず最初に、江戸のまちがどんなだったかを見ていきました。
人口100万人という世界有数の大都市であったこと、
まちなかに、ゴミがないクリーンな都市だったこと、
あらゆる消費財を再利用する循環型生活が営まれていたこと、
自然資源を効率よく使う環境順応生活だったことなどを学びました。
続いて、江戸庶民の70%が暮らしていた長屋について学びました。
長屋のサイズが間口九尺(2.7m)、奥行二間(3.6m)で、
現在の6畳のスペースだったこと、
土間には、流しや水瓶、水桶、竈を備えて自炊ができたこと、
トイレや井戸は共同スペースで、
そこから住人の交流が育まれたこと、
家賃は、現在の貨幣に換算して、月1万2500円ほどだった
ことなどが解説されました。
さらに、具体的な江戸のライフスタイルへの言及があり、
太陽太陰暦に基づいて、
昼夜の時間の長さを二十四節気ごとに変化させていたこと、
水力や薪、木炭などの天然由来のエネルギーの活用や
照明に行灯やろうそくが活用されていたこと、
単純な構造と何代にもわたって継承されていた
エコファッションである着物、
さまざまな回収業者によるリサイクルシステム、
多種多様な修理専門職人によるリユースシステム、
木綿や稲藁、竹などの再生可能素材の多用、
寺子屋をはじめとした基礎教育システムの
充実などが紹介されました。

学習の基本となったSDGsの17目標と
169ターゲットを網羅した資料

これらの解説の合間をぬって、落語ザムービーなどの映像を使って、
江戸庶民の生活を詳らかにするとともに、
江戸文化の至宝ともいうべき「落語」を身近に体験しました。
まとめとして、江戸の生活とSDGSをつなぐ「3つの“お”」として
「おかげさま(感謝)」「おたがいさま(共生)」「おてんとうさま(自然)」
というキーワードを提示して、今回の授業は締めくくられました。

受講生からは、
「江戸のエコな暮らしに興味を持ちました。今とはまったく違う暮らし、
時間の使い方、楽ばかりしないで自分たちで
やりくりしているところがいいなとおもいました」
「250年も続いただけある、豊かな時代やなと思った。
長屋でのくらしも、少しせまいけど楽しそう。
コミュニケーション能力も高そう」
「江戸時代の共生の意識は、今の人間もみならうべき
だと思う。現代日本の人達は、全員がそうとは言わないが、
少し自分本位なところがあると感じている。
皆が心に余裕を持って「おたがいさま」と言える
社会になればと思った」
といった意見が寄せられました。
意外と多かったのが、風呂敷への関心。
「エコバッグよりも万能で実際に使ってみたい」
「1枚持っておくと何でも使えるから便利かなと思った」
などの声がありました。

日本人のDNA には、古よりSDGsの精神が埋め込まれている。
そんな仮説を確かめようとスタートさせた今回の講義。
その象徴のひとつである江戸文化の中に、
受講生たちはSDGsの本質を見つけ出したようでした。
この講義は、あと2回続きます。

担当教員:高橋陸 講師:森壹風


Author: koyodai-tsushin

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